粗利率を1%改善する現場の着眼点——売上を増やさずに利益を増やす
粗利率1%と聞くと小さく感じるかもしれません。しかし月商1,000万円の会社なら、粗利率1%の改善は年間120万円の利益増。しかも売上を1円も増やさずに実現できます。今回は、実務の現場で粗利率改善の余地が見つかりやすい4つのポイントをご紹介します。
着眼点1:商品・顧客ごとの粗利率を「バラして」見る
多くの会社は粗利率を全社平均でしか見ていません。しかし平均は実態を隠します。商品別・顧客別に分解すると、儲かっている取引と、実は赤字すれすれの取引が必ず混在しています。
まずは売上上位20件の取引について、粗利率を一覧にしてください。「量は出るが儲からない商品」「手間ばかりかかる取引先」が見えてきます。全体の改善は、この下位グループへの対処(価格の見直し、条件変更、場合によっては縮小)から始まります。
着眼点2:見積もりの「値引き癖」を数える
見積書の段階では適正でも、受注時に「端数カット」「キリのいい数字に」と値引きしていないでしょうか。1件ごとは数千円でも、年間の受注件数を掛けると大きな金額になります。
対策はシンプルで、値引きの決裁ルールを作ることです。「〇%までは担当判断、それ以上は社長承認」。これだけで、なんとなくの値引きは目に見えて減ります。値引きは禁止しなくていい。「見える化」するだけで減るのです。
着眼点3:仕入の「相見積もり」を年1回だけ復活させる
長年同じ仕入先から同じ条件で買い続けている場合、市場価格とズレている可能性があります。すべてを見直す必要はありません。仕入金額の大きい上位3品目だけ、年1回、他社の見積もりを取る。それだけで交渉材料が手に入ります。
大切なのは、相見積もりを「取引先を切る道具」ではなく「適正価格を確認する習慣」として使うことです。長い付き合いの仕入先には、その関係価値も含めて判断してください。
着眼点4:「サービスのつもりの無償対応」を洗い出す
配送、設置、手直し、急ぎ対応、仕様変更——本来は有償であるべき対応を、善意で無償提供していないでしょうか。これらは原価には見えませんが、確実に粗利を削っています。
現場に「無償でやっている作業」を書き出してもらうと、経営者が知らない無償対応が山ほど出てくるのが通例です。すべてを有償化する必要はありません。ただ、「何を無償で提供しているか」を経営者が把握し、選べる状態にすることが重要です。
まとめ
取引をバラして見る、値引きを見える化する、仕入の上位品目だけ相見積もり、無償対応の棚卸し。どれも今月から着手できる施策です。粗利率は「気合いで上げる」ものではなく、「漏れている場所を見つけて塞ぐ」もの。1%の改善が、年間では従業員1人分の人件費に匹敵する会社も少なくありません。
当社では、商品別・顧客別の収益分析から改善施策の実行までを伴走型でご支援しています。「売上はあるのに利益が薄い」とお感じの経営者様は、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。