月次決算は「翌月10日」までに——数字が遅い会社は打ち手も遅れる
「先月の利益がいくらだったか、いつ分かりますか?」
——経営のご相談で、私たちが最初に伺う質問のひとつです。
翌月10日までに答えられる会社と、20日を過ぎる会社では、経営判断のスピードに毎月10日以上の差がつきます。この差は1年で4ヶ月分。数字が遅い会社は、打ち手が常に遅れるのです。
なぜ月次が遅れるのか:原因は3つしかない
月次決算が遅い原因を分解すると、ほぼ次の3つに集約されます。
- 請求書・領収書が月をまたいでから集まる(資料待ち)
- 経理担当者や税理士への丸投げで、社内に締める仕組みがない(体制)
- 在庫や経費の計上を「正確にやりすぎる」(過剰な精度)
裏を返せば、この3つを潰せば月次は速くなります。順に見ていきます。
対策1:締め日ルールを「社内向け」に設定する
資料待ちの解消は、社内の締め切り設定から始まります。「経費精算は翌月3営業日まで」「現場からの請求データは5日まで」と期限を決め、遅れた分は翌月回しにする。この「翌月回しルール」が重要で、遅れた1枚の領収書を待って全体を止めるより、締めてしまう方が経営上の価値は高いのです。
対策2:「概算で締める」勇気を持つ
月次決算の目的は税務申告ではなく、経営判断です。1円単位の正確さは不要で、大勢に影響しない項目は概算で構いません。実務では、在庫は移動平均や前月比の概算で計上する、減価償却費は年間予定額の12分の1を毎月計上する、賞与や保険など年数回の大口支出も月割りで見込み計上する、といった方法で「使える精度」を「速く」出します。正確な数字は決算で確定させればよい——この割り切りが月次スピードの核心です。
対策3:見る数字を先に決めておく
締めた後に「どこを見るか」が決まっていないと、月次は作って終わりになります。最低限、売上高(前年同月比)、粗利率、固定費合計、現預金残高の4つを1枚にまとめ、毎月同じ形式で確認してください。フォーマットが毎月同じであることが重要です。変化に気づく力は、比較の継続からしか生まれません。
税理士との役割分担を見直す
「試算表は税理士から2ヶ月後に届く」という会社は、役割分担の再設計が必要です。日々の入力(記帳)を自社で行うか、クラウド会計で自動化すれば、月次のスピードは自社でコントロールできるようになります。税理士には税務判断と決算・申告という本来の専門業務を担ってもらう。この分担が、双方にとって健全な形です。
まとめ
社内の締め日ルール、概算計上の割り切り、定点観測する4つの数字、そして記帳体制の見直し。月次決算の早期化は、特別なシステム投資なしで実現できる、最も費用対効果の高い経営改善のひとつです。
当社では、月次決算の仕組みづくりから、数字にもとづく打ち手の実行までを一貫してご支援しています。「自社の数字がいつも遅い」と感じている経営者様は、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。